製造業のエンジニア採用は無理ゲー!?現場を巻き込み「妥協ゼロ」で成功させる秘訣

製造業のエンジニア採用は無理ゲー!?現場を巻き込み「妥協ゼロ」で成功させる秘訣

競争が激しい採用市場において、どの採用媒体においても母集団が少なく、より一層採用が難しいとされるのが、製造業でのエンジニア採用(IT・機電など)です。

なぜ、大手製造業のエンジニア採用はこれほどまでに「無理ゲー」化しやすいのでしょうか? そこには以下のような特有の壁が立ちはだかっています。

  • 求める技術要件がニッチかつ広範
  • 開発機密の壁があり、求人票で具体的な製品名や技術の魅力を全てオープンにできない
  • 現場(工場やR&D)の発言力が強く、人事が要件定義のすり合わせに介入しづらい

「いい人材を早く連れてきて欲しい」と急かす現場と、厳しい条件のままでは動けないエージェント。板挟みになる採用担当者は、つい「採用要件の緩和(妥協)」に逃げたくなってしまうかもしれません。


しかし、製造業でのエンジニア採用を成功に導く鍵は「要件の緩和」ではなく、「ターゲットの条件幅を広げること」、そして「現場の採用力を底上げすること」にあります。

本記事では、数々の製造業でエンジニア採用を成功させてきたLeINの採用のプロフェッショナルに、現場を巻き込み「妥協ゼロ」で採用を成功させる秘訣をインタビューしました。


こんな方におすすめ

  • 製造業での採用担当者
  • 母集団が少ない職種の採用に苦戦している採用担当者
  • 現場との調整に苦戦している採用担当者

仙洞田 史雄

仙洞田 史雄(せんどうだ ふみお) :株式会社ハッカズーク レインカンパニーカスタマーサクセス部マネージャー

大学で電気電子工学を専攻後、大手化学メーカーの研究開発として7年間勤務。特許出願や製品の量産化、現場の泥臭いPDCAを経験。その後HR業界へ転身し、派遣・紹介・広告を8年経験。株式会社ハッカズークレインカンパニー入社後は、メーカー・IT領域を中心に現場に入り込むRPO(採用代行・コンサルティング)を牽引している。

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「求人票では魅力が伝わらない」日本を代表する大手製造業が抱えていた採用課題

──仙洞田さんはメーカーの研究開発出身という、人材業界ではかなり異色の経歴をお持ちですよね。

仙洞田: そうですね。大学で電気電子を学び、新卒で大手化学メーカーに入って7年間、研究開発に没頭していました。その後、「転職活動の複雑さとその支援の尊さ」に魅力を感じてHR業界へ飛び込みました。

僕の場合、大学の電気電子、前職の化学や機械の知見もあるため、ものづくりの裏側にある苦労や、技術者が大切にしているこだわりが肌感でわかります。だからこそ、採用のプロフェッショナルとして、開発現場のエンジニアと「対等な目線」で深く会話ができるのが強みです。

──今回のケーススタディは、日本を代表する大手製造業の企業での支援事例だと伺いました。どのような課題を抱えられていたのでしょうか?

仙洞田: 半導体から、交通、社会インフラまで手掛ける歴史ある大手製造業です。募集ポジションも、基礎研究から電気・機械設計、ソフトウェア開発まで多岐にわたり、非常に深い専門性が求められる現場でした。

当初のご相談は「ダイレクトリクルーティング(以下 DR)を活用して母集団を増やし、優秀なエンジニアを獲得したい」という内容でした。技術範囲が広く、取り組み業務の機密性も高いため、従来の求人票やエージェント経由だけではターゲットに詳細な情報や魅力が届ききっていませんでした。

スカウト代行の役割を超え現場と向かい合う「部門連携」への挑戦

──最初はDRの運用から入ったと思いますが、そこから支援内容はどのように変わっていったのでしょうか?

仙洞田: スカウトの手法だけで100通打ってすぐ採れるかというと、当然そんなに甘くはありません。

DRは求人票の表現やスカウト文面の内容によって「本当に欲しい人が採れるか」が決まるのですが、当時は業務の機密性も高く、求人票上で上手く表現できていない状態でした。

そこで、求人をより魅力化するために、人事を介するだけでなく「事業部門(現場)と直接やり取りさせてほしい」と提案しました。今ではこれを「部門連携」と呼んでいますが、現場部門に直接入り込んで支援する体制を確立しました。

LeINが支援する部門連携

仙洞田:実際に現場の事業部門にヒアリングに行くと、「実は求人票に書いてある内容と、現場が求めている人物像がズレている」「本当に欲しいのはこういうスキルだけど、求人票には反映されていない」といったことがたくさん出てきました。

「その人材、市場にいません」 エンジニア採用の無理ゲーを攻略する客観的データとの対話

──現場に直接入っていくと、要件の厳しい現場担当者から「こんな人が欲しい」と強い要望を突きつけられませんか?

仙洞田: まさにそこが一番のポイントです。製造業で起こりがちなのが、製造現場の組織内のパワーが強く、人事が調整に苦戦することです。現場としても採用に関してはよくわからないケースが多いため、「とりあえず、いい人材を早く連れてきて欲しい」、面接に協力してほしいと言われても「まず人事側で対応して欲しい」となりがちです。

実は私自身もメーカーで研究開発をしていた当時、人事に対して「現場は開発で忙しいんだから、いい人材を連れてくるのはそっちの仕事だろう」「面接? 人事が技術を勉強して説明してくれよ」と本気で思っていました(笑)。

だからこそ、現場のエンジニアがそう思ってしまう背景も、板挟みになる人事の辛さも、両方痛いほどわかるんです。

もちろんこれは製造現場が非協力的であるということを伝えたいのではなく、調整の仕方を間違えるとこういった対立構造が生まれがちになってしまうのです。

──そこに対して、仙洞田さんはどうアプローチするのですか?

仙洞田:まず前提として現場の技術を理解し、直接、対話できるようにしています。ただし現場の技術理解といっても短い期間では限界もあるので、勉強しつつも知ったかぶりはせず、わからないことは素直に「教えてください」と聞く姿勢を大切にしながら会話をしていきます。あとは、市況感とDRとは何かを説明して「昔と違って今は取りにくい状況であり、様々な手法を使ってとらなければならない」ということを理解していただいてます。

また、現場の方と採用したい人材の会話をする際には、不可能なことは正直に伝えています。「この条件に100%合致する人は市場にほぼいません。1ヶ月に数人会えれば良い方です」といった感じです。しかし、ただ無理だというのではなく、データと他社事例を示しながら客観的な根拠を持って、どうして厳しいのか、どうすれば逆に集めていけるのかをお伝えします。人事から言われると反発する現場も、外部の専門家から泥臭いリアルなデータや情報を突きつけられると段々と耳を傾けてくれます。その上で、具体的に求人票の書き方を変えていきます。単に必須スキルや業務内容を箇条書きにするのではなく、私にとって求人票は『候補者へのラブレター』なんです。ターゲットとなるエンジニアが何に惹かれ、どう活躍できるかを考え抜き、現場のリアルな熱量や魅力を届ける言葉へ落とし込んでいきます。

ただ、大事なのは、絶対に安易な約束や根拠のない過度な期待を持たせない「期待値調整」はしつつも、ただ採用要件の緩和をさせるわけではありません。

「採用要件の緩和」ではなく、「現場の採用力を底上げする」

──ただ採用要件を緩めさせるわけではないのですね。

仙洞田: 単なる妥協に近い採用要件の緩和は絶対にさせません。現場担当者と共にやっていくことは「ターゲットの可能性の幅を広げること」です。

例えば、スカウト媒体に登録されているエンジニアの職務経歴書はかなり簡素に書かれていることが多いです。これまでの現場なら「書いていないので未経験、マッチしないため不採用」と落としてしまっていました。

そこに対して、「職歴には詳しく書かれていませんが、この製品開発の前後関係を考えると、こういうスキルや工程を経験している可能性がありますよ」と補足していきました。


  • 【従来の現場(要件緩和)】

「職歴にこの言語・ツールが書いていないから不採用」
→ 母集団が集まらず、「仕方ないから、スキルが低い人でも通す(妥協)」

  • 【LeIN伴走後の現場(幅を広げる)】

「書いていないが、この製品開発の前後関係なら経験しているはず」
→ 行間から「可能性を見出して面談へ呼ぶ(ポジティブな発掘)」


こういった活動を地道に続けていくことで、段々と職歴の行間から候補者の潜在的なプラス面や可能性を見出して面談・選考に進んでくれるように現場から変わっていきます。

また、面談だけでなく、こちらから事例やノウハウを惜しみなく現場に提供することで、現場自身が「こういうスカウトを打ってみよう」「こういう魅力の伝え方をしよう」と主体的に動けるようになり、現場自体の採用力が向上して、結果的に採用の幅が広がっていきます。

これはただ要件を緩和するマイナスな姿勢ではなく、候補者の可能性の幅を汲み取って採用の可能性を上げるプラスな採用姿勢に変わったことを意味しています。

「社員以上に社員らしく」採用担当者として現場に切り込むコツ

社員以上に社員らしく

──現場と対等に話せるように理解を深めていくとありましたが、意識している工夫はありますか?

仙洞田: 心がけていることは「社員以上に社員らしく」その会社のことを知ることです。僕は支援に入る際、創業時の歴史からIR情報まで徹底的に読み込みます。会社の歴史を経てどんな技術が蓄積され、なぜ今この製品が強いのかを把握するようにしています。

その上で、現場のエンジニアにも質問をしてみます。例えば「IRを見ると花形部署でめちゃくちゃ忙しそうですけど、実際どうなんですか?」と。すると、「いや、実はみんな定時で帰っていてホワイトですよ。製品力が良いので市場で売れるんです。だから僕らは次の世代の開発に集中できている」といった実際の現場にいないとわからない生々しい声が返ってくる。するとこれが候補者の心を揺さぶる求人の魅力に変わってきます。

──とはいえ、領域の違う専門内容をキャッチアップするのは大変ではないですか?

仙洞田: 元々研究をしていたこともあり、楽しんで調べてしまう部分は個人的にはありますが、そうでない方へのアドバイスとすると、「自身が知っている身近なもので例えてみる」ことをおすすめします。

現場の方と会話するうえで大切なのは「会話している相手と、自分との間に『同じイメージ』が浮かんでいるか」ということだったりします。これは、Pythonなどの専門用語やその詳細の内容を丸暗記するというのではなく、例えば、制御ソフトでよく使われる「PID制御」は「シャワーの温度調整」でイメージできます。PID制御は目標の値に素早く、かつピッタリ合わせるための3つの計算(P=Proportional/比例・I=Integral/積分・D=Differential/微分)の組み合わせです。これはシャワーの蛇口をひねって、冷たい水からちょうど良い40℃のお湯にする場面でイメージするととても類似しています。このように自身がわかりやすいものに置き換えて理解します。用途や全体像を把握できれば、現場のエンジニアと同じ景色を見ながら会話ができるようになりますし、知見が深まってくると「他社と違ってここが面白いですね!」とリアルな魅力を見つけられるようにもなってきます。

採用は通過点、採用代行で終わらないLeINの真価

──そうした泥臭い伴走を重ねて、どのような成果が出ましたか?

仙洞田: 定量成果としては、難易度の高かったDRの目標比率を無事達成しました。一般的にエージェント経由よりもDRの方が難易度が高いのですが、計画通りの比率まで引き上げることができました。

それ以上に嬉しかったのは現場の定性的な変化です。あまり採用に協力的でない状態から、先ほどのように候補者の可能性を見出し、採用要件の幅を広げたり、採用への解像度が劇的に上がったことが大きな成果だと思います。

LeINの3つの現場ノウハウ

──単なるRPO(採用代行)を超えた関わり方ですね。仙洞田さんやLeINだからこそ提供できる価値とは何でしょうか?

仙洞田: LeINのRPOとしての目線は、「目先の採用成功だけをゴールとしない」点です。

例えば「今期10人採用したい」と言われた時、通常のRPOなら「どうやって10人採るか」を考えがちです。しかし私たちは「なぜ10人必要なのか?」「10人入社した先に事業はどうなるのか?」まで踏み込んで質問します。

採用はあくまで事業課題を解決するための「手段の1つ」に過ぎません。

実際にあるクライアントでは、採用の話をしている中で「実は特定の部署で離職率が高い」という課題が見えてきました。その場合は、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けても意味がないので、まずは離職を止めるための施策(定着支援や組織課題の整理)から提案することもあります。

ここまで採用の先の本質的な課題に踏み込みつつ、採用に伴走できるのがLeINの強みですね。

──今回は貴重なお話をありがとうございました。

「現場との連携がうまくいかない」「今の母集団形成に限界を感じている」とお悩みの採用担当者様へ。
LeINでは、目先の採用数だけでなく、本質的な組織課題から伴走するRPOサービスを提供しています。まずは貴社の現状の採用課題について、エンジニア採用のプロに無料相談してみませんか?

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